80代後半という超高齢の母が、このたび WAIS-Ⅳ(ウェクスラー式成人知能検査) を受けました。
その理由は――
窓口がある銀行・証券会社の営業に操られ、危険な金融商品を“買わされていた”ことが発覚したためです。
母は父の資産にまで手を付けさせられ、家族の知らないところで大きな損害を抱えていました。
母は学生時代は優秀で、地元トップ校出身。
ですが昔から “騙されやすい” ところがあり、
Seiranどこかに特性があるのでは?
と薄々感じていました。
母が長年見せてきた“アンバランスさ”は、今思えば発達特性の一つだったのだと思います。
学習面ではずば抜けた強さがあった一方で、対人面・判断力・断る力・情報処理のスピード に明らかな弱さがありました。
本人は困っておらず、家族もそれを「性格」だと捉えていたため、特性として理解されることはありませんでした。
しかし、その“認知の偏り”こそが、高齢になった母を 最も危険なターゲット にしてしまったのです。
特に母のようなタイプは
- 人の悪意を読み取ることが苦手
- 強く言われると断れない
- 複雑な説明を理解するのに時間がかかる
という特徴があり、
金融営業・宗教勧誘・マルチ商法などの“人を操るタイプ”に非常に狙われやすい と言われています。
父が家にいた頃は、こうした危険から守られていました。
しかし父が認知症になり家の中の決定権が母へ移った瞬間、まるで待ち構えていたかのように営業が家に出入りするようになりました。
しかも、母を狙ったのは名も知らぬ業者ではありません。
誰もが知る大手証券会社です。
“ブランドの安心感”を盾に、母が理解できないほど複雑で、リスクの高い仕組債などを
「大丈夫ですよ」
「みなさん買っています」
「銀行にお金を置いておいているのはもったいないです」
と繰り返しながら売りつけていたのです。
父が元気だった頃は営業が入り込む余地はありませんでしたが、父の認知症とともに状況は一変。
私が家を出た頃から、母の周囲に「優しさ」を装った営業が集まり始めました。
今は、“高齢者×金融営業” は最悪の組み合わせ‘’といわれています。
特に、仕組債などの高手数料商品などは、
- 顧客の理解度
- 判断力
- 断る力
が弱い人ほど狙われやすい。
この記事では、母が実際に巻き込まれた金融被害の実例と、WAIS-Ⅳで分かった特性、さらに 「騙されやすい高齢者の資産はネット証券で守るべき理由」 をまとめました。
自分や家族を金融トラブルから守るヒントになるはずです。
どうぞ最後まで読んで頂けたら嬉しいです。
■母が買わされていた金融商品「仕組債」とは?
高齢者を狙う“見えない罠”
母が証券会社から勧められ、長期間にわたり保有させられていたのが
「仕組債(しくみさい)」 と呼ばれる金融商品でした。
名前のとおり“仕組まれた債券”ですが、その構造は非常に複雑で、
専門家でも正確に理解するのが難しい と言われています。
母がこれを理解できていた可能性はほぼありません。
そして、理解できていないまま契約させられていたことが後で判明しました。
仕組債の特徴:一言でいうと「ハイリスクなのに、説明が分かりにくい」
仕組債を簡単にまとめると、
- 条件次第で大きく元本割れする可能性がある
- しかしその“条件”が非常に分かりづらい
- リターンは中程度なのに、リスクは極めて高い
という「割に合わない商品」です。
たとえば説明の中にはこんな言葉が出てきます。
- “ノックイン条項”
- “参照指数が○%を下回ると元本割れ”
- “クーポン(利息)支払い条件”
- “償還の可否は市場次第”
これを80代の高齢者が理解できるわけがありません。
母のように
「断れない」「相手を疑わない」
という特性がある方は、理解しないまま契約に進んでしまいます。
なぜ仕組債は高齢者に売られるのか?
結論から言うと、仕組債は「営業側が儲かり、高齢者が損をしやすい」商品 だからです。
- 手数料が高い
- 契約すると営業の評価が上がる
- 苦情を言う力が弱い人に売れば安全
- 長期で保有させれば損に気づきにくい
こうした理由から、
金融庁も「高齢者への仕組債販売」を問題視しています。
実際に2024年には
千葉銀行・ちばぎん証券などが仕組債の不適切販売で金融庁処分 を受けました。


これは氷山の一角です。
あなたの親御さんの口座にも、仕組債や高額手数料の投信が紛れ込んでいる可能性があります。
私は大手銀行で仕組債を買わされて子どもの教育費が根こそぎ被害にあったシングルマザーと知り合いになり
「大手金融機関だから安心」は全く通用しないということを痛感しました。
信用力を武器に、素人には到底わからない複雑なバクチ商品をさわやかな笑顔で売りつける。



一般市民には想像もできないほどの悪質さです。
半沢直樹、もう一度見直してみようと思います。



証券会社の闇を暴く、小説やドラマもどなたか作って下さい!
“理解できない人に売ってはならない商品”を、なぜ母は買わされたのか
仕組債は本来、構造を理解できる投資家にしか売ってはいけない商品とされています。
- 安全性が高いですよ
- 人気の商品ですよ
- 今だけ、あなたにだけが特別に買えます
といった不安を煽ったり自尊心をくすぐるような言葉を並べられて説得されました。
しかも「債権」という安定性の高い言葉がはいっている。
母は、
- その場で判断を迫られると弱い
- 相手に嫌われたくない
- 証券のプロだからお金の運用の「正解」を知っていると思い込む
という特性があったため、買うのが当然という心境になってしまったのです。
母が買った仕組債は「営業ですら理解していなかった」可能性がある
これは少し驚かれるかもしれませんが、仕組債を販売していた営業本人が商品内容を理解していない
というケースは珍しくありません。
- 自分では絶対に買わない
- 家族にもすすめない
- でもノルマのために売る
このような営業をする人が多いのが実態です。
営業側は多額の手数料を得られるが、顧客はとんでもないリスクを背負うしくみ。
これが、仕組債です。
被害に気づくのが遅れる理由
仕組債は、“すぐにお金が減るわけではない” ため、被害に気づくのが遅れます。
- 契約書の字が小さい
- 仕組みが複雑すぎる
- 毎月の損益が分かりにくい
- 高齢者は明細を見ても理解できない
こうした理由で、被害を把握するのに数年かかることもあります。
信用しきっている特性ありの高齢母は気づくはずもなく、私たち子どもが気づいたときには既に大きな損害になっていました。
高齢者の仕組債被害が“表に出ない”本当の理由
仕組債の被害についてブログやSNSで発信する人が少ないのは、
- 被害に気づいていない
- 気づいても訴える気力がない
- 訴訟に数年かかり、高齢者には現実的ではない
- 証拠が複雑で泣き寝入りする人が多い
という事情があるためです。
つまり、世間に公表されていないだけで、被害者はかなり多いと考えられます。
メガバンクの仕組債被害者と知合いになり連絡を取り合っていますが、大手金融機関の信用を利用して罠にかけています。
母は2Eの可能性?—行動特性から見えた“騙されやすさ”
母は若い頃から、
「学業優秀」「几帳面」「努力家」
と言われるタイプでした。
実際、地元トップの進学校に進み、「正解がある課題をきちんとこなす力」は人一倍ありました。
ですが、長年そばで見てきた私は感じていました。
母はずっと “得意と不得意の差” がとても激しい人 だった、と。
その凸凹は、まさにギフテッドや2Eのお子さんに見られる傾向とよく似ています。
■母の苦手な部分(=営業に狙われた理由)
母を10年以上見てきて分かった“特性”は次の通りです。
①「正解のないこと」が極端に苦手
母は、学校の勉強のような“正解が決まっている作業”はとても得意でした。
しかし、
- 新しいことを判断する
- 自分にとって最善の選択をする
- 人の意図を読み取る
といった “正解がない”日常の判断 が極端に苦手でした。
仕組債のような複雑な金融商品の判断は、母にとってはそもそも不可能だったのです。
② 相手を疑うことができない
母は、営業の「優しい態度」を“その人の本性”だと信じてしまうタイプでした。
- 世間話をしてくれる
- 丁寧に話を聞いてくれる
- 何度も家に来てくれる
- 「心配なので」と声をかけてくれる
これらを「親切な人」と解釈し、警戒心を完全に手放してしまう のです。
こうしたタイプは、サイコパス的な営業・詐欺師にとって、非常に狙いやすい存在になります。
③ 強く言われると断れない
母は、頼まれごとを断ることがほとんどありませんでした。
- みなさん買っていますよ
- お母さまは理解が速いから大丈夫です
- 今しか買えません
と言われると、その場の空気を壊さないように、つい頷いてしまうのです。
これはASD的な対人理解の弱さ
や
ADHD的な衝動性が組み合わった “脆さ” とも言われています。
④ 情報処理がゆっくりで、説明が頭に入らない
母は昔から「話を一度にたくさん聞くと混乱する」という特徴がありました。
営業はここを正確に突いてきます。
- リスク説明を高速で話す
- 専門用語を並べる
- 資料を細かい字で渡す
こうした“説明しただけ”の形だけ整えれば、法律上は「説明義務を果たした」ことになるからです。
理解できていなくても、営業側には “説明した証拠” だけが残ります。
⑤ ADHD特性:注意散漫・探し物の多さ・片付けの苦手さ
母は、よくこう言っていました。



ここに置いたはずなのに、なんでないのかしら?
注意力が散漫で、片付けも苦手で、途中で別のことを始めてしまう。
これは典型的なADHDの不注意タイプの特徴です。
日常生活で情報を整理する力が弱いため、金融商品のような複雑な説明を理解するのはさらに難しくなります。
⑥「自分の状況を客観視できない」特性
母は、
- 自分がどれだけ断れないか
- どれだけ相手を信じやすいか
- どれだけ複雑なことが苦手か
を自覚していませんでした。
発達特性のある方にはよくある特徴で、自分の弱点を過小評価してしまう 傾向があります。
「私は大丈夫」と思い込んでしまうため、家族の助言も入りづらいのです。
⑦ 父にずっと守られていた
父は典型的なワンマンタイプで、家の中の決断権はすべて父にありました。
他人に利用されることが大嫌いでした。
そのため、営業が家に来ることもありませんでした。
しかし、
- 私が結婚し家を出た
- 父が認知症になった
その頃から母のまわりに営業が少しずつ集まり始め、気づけば“カモ認定”されていたのです。
前編のまとめ:家に来る営業こそ最も危険。高齢の親を守るための第一歩
母の場合、自ら証券会社の窓口に行ったわけではありませんでした。
営業がNISA口座開設キャンペーンを口実に何度も家に来て、距離を縮めながら最初は安全な債権から徐々に誘導して行った のです。
一度家に上がり込まれると——
- 世間話で信頼を得られる
- 相手の生活状況を把握される
- 断れないタイプかどうか見抜かれる
- 不安を刺激され、判断力を奪われる
といった状況になり、母のように “断れない特性” がある人は、まず逃げられません。
結果として、母は理解できないほど複雑な仕組債をいくつも購入していました。
しかし、
WAIS-Ⅳで母の特性を数値化したことで、
家族としてようやく状況を取り戻すことができました。
詐欺・営業トーク・宗教・マルチ商法には弱い。
うちの子ども達も将来、母のように損害を受ける可能性が十分あるのです。
だからこそ、早い段階で
- 自己理解
- 得意と不得意の把握
- 生き抜くための知識
を親が把握してしつけや教育に取り入れることが必要だと痛感しています。
高齢の親に絶対必要なのは「営業が来ない環境を作ること」
次のような特性がある場合——
- 相手を疑えない
- 説明を処理するのが苦手
- 断れない
- 家に来られるとNOと言えない
こうした親には、窓口型・訪問型の銀行や証券は危険すぎます。
まずは、営業が一切来ない・連絡も来ない「ネット証券」へ資産を移すことが最優先 です。
母が受けた WAIS-Ⅳ(ウェクスラー式成人知能検査) は、16歳〜90歳11カ月まで受けられる、大人向けの総合知能検査です。
知能検査というと
「IQを測るだけ」
というイメージが強いかもしれませんが、WAIS-Ⅳの目的は
得意・不得意、思考の癖を“見える化”するための検査
なのです。
特に高齢者の場合、
- 判断力
- 理解力
- 物事の切り替え
- 記憶の保持
などの衰えを客観的に捉えることができます。
母のように、
「騙されやすい」「断れない」
といった特性の背景を知るにも、とても役に立ちました。
安全に資産を守るための第一歩:ネット証券で口座を作る
◎ 高齢の親御さんに最も使いやすい「楽天証券」
画面が見やすく、家族と一緒に残高を確認しやすいのが特徴です。
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◎ 投資経験がある家族が管理するなら「SBI証券」
商品の選択肢が多く、NISAに最適な低コスト投信も揃います。
👉SBI証券公式HP
こちらの本は証券会社の営業に騙されない方法についても書かれていますので、シニア世代にはお勧めです。
後編につづく:母のWAIS-Ⅳで分かった“騙されやすい理由”とは?
前編では、
仕組債が高齢者に売られる構造と、母の特性が営業に利用された経緯
をまとめました。
後編ではいよいよ、母が実際に受けた
- WAIS-Ⅳでどんな結果が出たのか?
- 特性がどのように“営業との相性の悪さ”につながったのか?
- 高齢者の金融被害を防ぐ具体策
を詳しく解説します。
→ 後編はこちら


