WISCの処理速度に課題がある息子と起立性調節障害|私立中学校をやめる決断と回復への記録

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処理速度に悩む息子と回復への記録

息子の特性に合うように、考え抜いて選んだ私立中学校でした。

けれど、毎日往復2時間半以上をかけ、月曜日から土曜日まで通い続ける生活は、息子にとって大きな負担だったようです。

息子は、WISCの検査で処理速度の指標が、ほかの指標に比べて低いタイプです。

さらに、起立性調節障害もあります。

中学2年生の秋、息子はその学校を離れることを決めました。

今年中に現在の私立中学校から転出する予定です。その後は、地元の公立中学校への転校に向けて手続きを進めていきます。

この記事は、うまくいった体験談ではありません。

エネルギーが空っぽになった息子と一緒に、回復の入り口に立っている「今」の記録です。

同じように、がんばってきたわが子が動けなくなり、どうしたらよいのか分からず途方に暮れている方へ。

わが家の経験が、少しでも息をつくきっかけになればうれしいです。

目次

選び抜いたはずの学校で、少しずつすり減っていった息子

中学受験のとき、私たちは息子の特性を考えて学校を選びました。

学びの雰囲気、先生方の姿勢、息子の興味との相性。

娘の学校選びのときと同じように、親として考え抜いたつもりでした。

息子が自分らしく学び、興味のあることを深めていける環境を探したのです。

それでも実際に通い始めてみると、息子の消耗度合いは想像以上でした。

朝早くに家を出て、帰ってくるのは夕方遅く。

月曜日から土曜日まで、その生活が続きます。

家に帰ってから課題をこなすだけのエネルギーは、もう残っていませんでした。

なんで休みが日曜しかないの?

そんな言葉も、何度も聞きました。

息子に合う環境を探したつもりでした。

けれど、学校との相性は入学前に分かることだけではありません。

実際に通い始めて初めて見えてくるものがあるのだと、今になって感じています。

なぜ息子のエネルギーは空っぽになったのか

振り返ると息子のしんどさには、主に三つの要因が重なっていたと感じます。

理由1:往復2時間半以上、週6日の通学

通学時間は、移動している時間だけの問題ではありません。

満員電車に揺られ、乗り換えをこなし、遅れないように時間を気にし続ける。

朝から人の多い場所で過ごし、決められた時間に学校へ着かなければならない。

息子の場合、授業が始まる前からかなりのエネルギーを使っていたのだと思います。

往復2時間半以上の通学に加えて、土曜以外は6時間授業。週6日の登校。

息子のようなタイプには、この負担はかなりのものだったようです。

理由2:処理速度の課題と、スピードを求められる毎日

息子は物事を理解したり、筋道を立てて考えたりする力が高い一方で、先の見通しをたてて必要なものを準備したり、先生に言われた作業を素早くこなすことには苦手さがあります。

WISCの検査でも処理速度の指標は、ほかの指標に比べて低い結果でした。

授業の板書、課題、小テスト。

学校生活では理解しているかどうかだけでなく、決められた時間内にどれだけ作業を進められるかも求められます。

頭では分かっているのに、手が追いつかない。

やるべきことが分かっていても、時間内に終わらない。

そうした状況が繰り返されると、本人にとって大きな負担になります。

もちろん、処理速度の数値だけで、すべての困りごとを説明できるわけではありません。

ただ息子の場合は、もともとの作業の苦手さに、長時間通学や体調不良が重なっていたのだと思います。

WISCの結果を、子どもの理解につなげるために

WISCの検査結果を受け取っても、数値の意味を理解し、日常生活での困りごとと結びつけるのは簡単ではありません。

息子の場合も、考える力が高い一方で、作業を素早くこなすことには苦手さがありました。

「理解できているのに、なぜ時間内に終わらないのだろう?」

そんな疑問を持ったとき、心理検査についての知識があれば、子どもの困りごとを別の角度から考えるきっかけになります。

WISCの結果は、子どもの能力を単純に評価するためのものではなく、得意なことや支援が必要なことを理解するための手がかりの一つです。

検査結果の見方や、子どもの特性に合った関わり方を知りたい方は、心理検査について解説した書籍を参考にしてみるのもよいと思います。

▼ WISCや心理検査について学べる本

※検査結果の解釈や具体的な支援方法については、書籍だけで判断せず、検査を実施した専門家にも相談してください。

理由3:起立性調節障害で、朝の体が動かない

息子には、起立性調節障害があります。

起立性調節障害は自律神経による血圧や心拍数などの調節に関係する病気で、立ちくらみ、めまい、倦怠感などの症状が現れることがあります。

朝起きられない、午前中に調子が悪いといった状態が見られることもあります。

息子の場合も早朝に家を出て長時間の通学をする生活は、体調面で厳しかったのだと思います。

症状は次第に強くなり、今では11時間前後眠るようになってしまいました。

ただ長時間眠ることや強い疲労が続く背景は、一つとは限りません。

体調の変化については、医療機関とも相談しながら見守っていく必要があると感じています。

一つひとつの負担は何とかこなせても、いくつも重なれば、子どもの心と体が限界を迎えることがあります。

「学校をやめる」は、立て直すための選択

学校を離れると決めるまで、私はずいぶん迷いました。

受験をがんばって入った学校です。

Seiran

もう少しがんばれば慣れるのではないか

そんな気持ちもありました。

実際、中学1年生の一時期は、遅刻しながらも欠席は少なく済んでいました。

もう少し体力がつけば、少しずつ遅刻も減っていくのではないか。

そう期待していたのです。

「もう限界」という言葉を、何度も聞き流していた

もう限界だよ

実は、息子からこの言葉を何度も聞いていました。

それでも私は、「もう少しがんばれるはず」と思っていました。

息子自身にも、そう思わせ続けていたのかもしれません。

今振り返ると息子が発していたサインを、私は十分に受け止められていなかったのだと思います。

体力がつけば、今の生活にも慣れる。

そう考えていましたが、少なくとも、息子の場合はそうではありませんでした。

子どもの「もう限界」という言葉を、単なる弱音として片づけてはいけなかった。

これは、今の私が強く感じていることです。

夏休みが明けても、元気は戻らなかった

中学2年生の夏休みに入ると、息子は毎日10時間以上眠るようになりました。

起きている時間も、口にするのは「疲れた」という言葉ばかり。

パソコンを使っている時間だけは、疲れを感じずにいられると話していました。

好きなことに取り組める時間が、息子にとって貴重なものだったのだと思います。

私はゆっくりすれば、少しずつ回復していくのではないかと考えていました。

ところが、夏休みが終わっても、元気は戻りませんでした。

遅刻してでも学校へ送り出すと、途中で具合が悪くなってしまいます。

駅のベンチで休んでいるうちに、気づけば6時間目も終わっている。

そんなこともありました。

結局、学校を休まざるを得ない日が続きました。

休めば元気になると思っていたのに、そう簡単にはいきませんでした。

この学校に残る理由が、見つからなかった

学校に行けなくなってからも、息子の頭の中は提出しなければならない課題でいっぱいでした。

課題のことを考えるだけで、エネルギーが失われてしまうのだそうです。

期待して入った部活動も、思っていたほど活動がありませんでした。

友達に会いたい気持ちはあっても、それ以上にやりたくないことやつらいことが多すぎたのです。

そして、とうとう学校に行けなくなりました。

娘が通った学校とは違い、息子の学校では高校に進学しても環境が大きく変わるわけではありません。

高校に上がれば状況が好転する、と期待できる要素は私には見つけられませんでした。

むしろ、高校に進学すると、息子にとって参加の負担が大きいと感じる行事も待っています。

併設の高校に進まないのであれば、高校受験をする必要があります。

けれど今のエネルギーが空っぽの状態から、学習意欲が戻るまでには時間がかかるかもしれません。

それなら、少しでも早く環境を変え回復するための時間をつくろう。

そう判断しました。

学校を離れることが、すべての子どもにとって最善の方法だとは思いません。

それでもわが家にとっては、息子の今の状態を考えたうえでの選択でした。

子どもの状態を見ながら、学ぶ環境を変えることも、親としてできる大切な選択の一つなのだと思います。

回復の入り口で、今わが家が心がけていること

学校を離れると決めたからといって、息子がすぐに元気になるわけではありません。

今もまだ、エネルギーは空っぽのままです。

これからどうなるのか、私にも分かりません。

それでも、今のわが家が大切にしたいと思っていることを書いておきます。

1. 病気と特性について、親がまず正しく知る

子どもが朝起きられないと、「夜更かしするからではないか」「やる気がないのではないか」と考えてしまうことがあります。

私自身も、もっとがんばれば何とかなると思っていた時期がありました。

けれど、本人の努力だけではどうにもならないことがあります。

起立性調節障害について理解を深めるための本として、講談社の『起立性調節障害(OD) 朝起きられない子どもの病気がわかる本』があります。

病気についての基礎知識を得たり、子どもの状態を理解したりするための参考資料の一つです。

親が病気について知ることは、子どもの状態を理解し、医療機関や学校に相談する際にも役立つと思います。

▼ 起立性調節障害について学べる本

『起立性調節障害(OD) 朝起きられない子どもの病気がわかる本』

2. 今は、心と体を休めることを優先する

今の息子に必要なのは、まず心と体を休めることだと考えています。

長く眠ることも昼まで起きられないことも、今の状態を考えるうえで無視できません。

ただし、「休んでいれば必ず自然に回復する」と決めつけることもできません。

体調の変化を見ながら、必要な医療的な支援も受けていきたいと思っています。

そして、高校受験のことは本人の前ではできるだけ話題にしないようにしています。

親としては、将来のことが気になります。

今から何か勉強しておいたほうがよいのではないか。

少しでも遅れを取り戻したほうがよいのではないか。

そんな思いが浮かぶこともあります。

それでも、今は息子の心と体を休ませることを優先したい。

いつかまた、楽しいと思えることに出会える。

生きていれば、楽しいこともある。

今は、そんな可能性を親の私が信じていたいと思っています。

3. 本人が回復したときに選べるよう、進路の情報を集めておく

いつ、どのくらい回復できるのか。

今の私には分かりません。

だからこそ息子が回復したときに、できるだけ多くの選択肢を持てるようにしておきたいと考えています。

教育支援センター、塾の先生、小児科の医師などに、高校受験を予定していることを伝え、今後考えられる進路や必要な準備について相談しています。

特に塾の先生からは、娘のときには必要がなかった高校受験に関する情報を得ることができました。

同じ中学生でも、進学先や現在の学校の状況によって、必要な情報はずいぶん違うのだと感じています。

内申や高校受験への影響など、確認しておきたいことはまだあります。

情報を集めることと、本人に今すぐ何かをさせることは別です。

親ができる準備は進めながら、息子には回復するための時間を確保したいと思っています。

今、動けないわが子を見守っている方へ

わが家も、まだ答えが見つかったわけではありません。

息子がいつ元気を取り戻すのか、転校した先でどんな生活を送ることになるのか、分からないことばかりです。

焦る気持ちは、私にもあります。

けれど今は焦って答えを出すことよりも、息子の状態を見ながら一つずつできることを考えていきたいと思っています。

子どもが動けなくなったとき、親は何とかしてあげたいと思います。

学校に行けるようにしたい。

勉強の遅れを取り戻したい。

将来困らないようにしてあげたい。

でも、子どもが本当に疲れ切っているときには、そうした思いが本人の負担になってしまうこともあります。

今すぐ何かを達成しなくてもいい。

今すぐ将来を決めなくてもいい。

まずは安心して休める場所があること。

そして、親が少しずつ情報を集め、本人が元気を取り戻したときに選べる道を残しておくこと。

それも、大切な支え方なのだと思います。

同じように悩んでいる方も、どうか一人で抱え込まないでください。

医療機関や学校、教育支援センターなど、相談できる場所を頼りながら親自身も休める時間を確保してほしいと思います。

まとめ|学校を離れた先に、また学べる日が来ることを願って

息子の特性に合うと信じて選んだ私立中学校。

けれど、往復2時間半以上の通学、処理速度の苦手さ、起立性調節障害による体調不良など、さまざまな負担が重なり、息子は学校に通い続けることが難しくなりました。

「もう少しがんばれば」と思っていた私も、今は、環境を変えることを選択肢の一つとして考えています。

今年中に、息子は現在の私立中学校を離れる予定です。

転校した先でどんな生活が待っているのか、いつ元気を取り戻せるのかまだ分かりません。

わが家は、回復の入り口に立ったばかりです。

これから息子がどのように元気を取り戻していくのか、転校によって生活がどう変わるのか。

その答えは、これから少しずつ見えてくるのだと思います。

このブログでは、うまくいったことだけでなく、迷ったことや悩んだことも、できる範囲で記録していきます。

同じようにがんばってきた子どもが動けなくなり、途方に暮れているご家庭にとって、わが家の記録が少しでも参考になればうれしいです。

子どもが自分らしく学び、暮らしていける道は一つだけではない。

今は、そう信じて歩いていきたいと思います。



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